美浜町和田の精神科医でひきこもりの若者らを支援するヴィダ・リブレの代表宮西照夫さん(77)が、遠見書房から中米・グアテマラを主な舞台とした小説「マヤの赤い月」を発刊した。専門分野に関する著書は数多いが、小説の執筆は今回が初めて。「長年の交流から得たものを物語にできて、うれしく思います」と話している。

宮西さんは1973年に県立医科大学医学部を卒業、2012年から同大学名誉教授。イギリスの作家D・H・ロレンスの短編を読んだことからマヤ文明に関心を持ち、1971年に初めてメキシコに渡ってマヤの末裔(まつえい)に当たるラカンドン族と出会った。これまで55回南米を訪問し、マヤ文明を日本に紹介している。中でもマヤ人の高度な精神疾患治療技術に関心を持ち、研究を深めてきた。
今回の著書は、中米・グアテマラを舞台に男性医師を主人公とした初めてのフィクション。1980年代、内戦下のグアテマラでマヤ先住民と共に暮らしていた主人公の亮介は、呪術師による儀式など独特の文化、美しい山並みや湖などの自然に強く魅かれる。だがマヤ人たちは虐げられ続ける現実を変えようと武装蜂起し、さらに土地を追われることとなるのだった。日本で医師となった亮介は妻の遺した言葉をきっかけに、65歳でグアテマラを再訪。かつて親しかった人々にゆかりの人物と出会っていく。日本ではコーヒーの産地として知られるグアテマラについて、主人公の行動の描写等を通じて歴史と文化等が克明に記される。
宮西さんは「小中学校時代はあまり小説を読まなかったのですが、高校の時に友人の影響で読み始めた本がとても面白く、よく読むようになりました。マヤ文明に関心を持ったのも、ロレンスの短編を読んでからです。マヤの末裔のラカンドン族に出会ってから50年以上、最初は陸上のルートで行けず、セスナで森に降ろしてもらったのを思い出します。長年の交流から得たものを物語として表現するのは難しかったですが、ようやく実現することができてうれしく思っています。次は中学時代の友人のことを書いてみたいですね」と話している。
定価は2200円(税込)。全国の書店から注文でき、インターネットでも取り扱っている。


