牛肉は筋肉の元となる良質なタンパク質はじめ鉄分、亜鉛、ビタミンB群などが豊富で疲労回復にも役立つ。牛乳やチーズなどの乳製品も同じ。よく長寿祝いの取材をさせてもらっているが、「牛肉が好物」という100歳の人も結構多い。筆者は、牛肉はもちろん、豚、鶏、ジビエまで何でも肉が好きで、それぞれの味を楽しんでいるが、どうせならよりおいしい肉を食べたいと思うのは当たり前だ。

 先日、県内の優れた母牛(黒毛和種)を選ぶ第7回県種牛共進会に出品した牛が優秀賞二席を受賞した御坊市名田町、阪口牧場の2代目阪口弘さんを取材した。大学卒業後に酪農の仕事を引き継ぎ24年目で、現在母牛45頭を飼育。なかなか生きた牛を間近で見る機会がないので、牛の大きさと威圧感にややひるんだが、阪口さんに餌をもらって頭をなでられている牛の姿を見て少し安心した。阪口牧場では1頭の母牛が1年に1回出産し、通算10回ぐらいは産むそうだ。出産はたいていが夜で、難産の場合もあるため、付き添いが必要。出産の兆候がスマートフォンに送られてくるアプリがあるそうで、真夜中に起こされることもしばしば。大変な仕事だと思うが、阪口さんは「昼間はJAの仕事をしていますので、夜に産んでくれた方がありがたいです」と笑顔。ちなみに近年は遺伝子レベルで血統のよい牛の解析、管理が進められており、今回受賞した「もこ号」も元々、血統がよかったそうだ。

 昔に比べ酪農の効率は飛躍的に上昇しているそうだが、日ごろの牛の管理や出産の立ち会いなど大変な仕事。酪農家の皆さんが品質の高い牛を生産することもまた、日本の食の安心、安全につながっていることに感謝したい。 (吉)