昭和の戦時下、日高地方でも空襲が行われるようになると、爆撃機の接近を監視する民間の防空監視施設が各地に設置された。任務の担当は当初、在郷軍人や消防団員が中心だったが、戦争の長期化につれて学生や青年団員が動員され、漫画家の手塚治虫氏も大学浪人時代にその任にあたったという。

 地上の監視施設で24時間、交代しながら監視係が目と耳で空に神経を集中。双眼鏡で敵の編隊を確認するや、「発見、B29、10機、北上中…」などと声を出し、それを受けた通信係が本部へ連絡すると、しばらくしてラジオから「B29が〇〇上空を北上中」などと警戒情報が流れた。

 いま、日本人は人里や市街地にまで出没するクマの脅威に直面している。今年、全国でクマに襲われ亡くなった人は、10日までに前年の倍以上の13人となっており、テレビは連日、新たな目撃情報や人が襲われたニュースを報じている。

 9月からは市長や町長の判断でハンターにクマへの発砲を認める緊急銃猟制度がスタートした。今月10日までの約2カ月間に全国で18件行われているが、行政と猟友会、警察が連携し、安全のために必要な装備を整え、周辺の道路を封鎖しての駆除はかなりのエネルギーを要する。

 被害が深刻な秋田県は陸上自衛隊との間で箱わなの輸送や見回りなど後方支援に限定した協力を求める協定を締結した。国民にとって、災害時の救助・復旧等の出動はもはや当たり前の光景となっているが、自衛隊の本分はあくまで国防。人員不足で平時の任務にさえ疲弊しているなか、戦後80年の新たな危機に、国家の力、英知を結集して、国民を守る新たな体制づくりが急務となっている。(静)