日本一短いローカル私鉄として鉄道ファンの人気を集め、100年近い歴史を持つ紀州鉄道(経営=紀州鉄道株式会社)が廃線の危機に陥っている。年間約5000万円の赤字が続いており、鉄道事業を2026年中に廃止する方向で事業の譲渡先を探しているという。御坊のシンボルでもあり、存続を望む声は多く、今後の動きが注目されている。

鉄道ファンにも愛される紀州鉄道

 紀州鉄道はJR御坊駅から学門駅(日高高校前)、市役所前駅等を経由し西御坊駅まで全長約2・7㌔のミニ鉄道。高校生ら地元住民の交通手段として親しまれているほか日本一短いローカル私鉄として鉄道ファンに愛され、1両編成のディーゼルカーが田園風景の中を走る姿は写真愛好家の被写体としても人気を呼んでいる。

 1928年(昭和3年)に「御坊臨港鉄道」として設立、31年に開業。経営は当初から厳しく、風水害等の被害もあって60年代には廃止の危機に追い込まれたが、72年に磐梯電鉄不動産が約1億円で買収、紀州鉄道と社名を変更。80年には本社を東京都に移転した。リゾート開発を軸とする不動産業を主力部門とするが、鉄道会社ということが信頼につながることから、赤字にかかわらず営業を続けてきた。

 国土交通省が発表した2019年度の営業係数は612・5で、100円の収入を得るために612円かかる計算。運行本数を減らすなどの対策をとってきたが、人件費、線路の枕木交換等の維持経費がかさみ、経営改善も難しい状況。今後はさらに減便を行うが、鉄道事業を引き継ぐ相手が見つからなければ廃止となるのはやむを得ないという。関係者は「地域に愛されているミニ鉄道、なんとしても存続できるよう、地元企業をはじめ関西、全国の企業に声をかけていきます。鉄道事業に関心のある企業には手を挙げて頂ければと、切に願っています」と話している。

 地元の御坊市や県にも、経営維持について相談している。御坊市は以前から固定資産税の2分の1以内、年間60万円程度で補助しており、担当課では「紀州鉄道の閉鎖などの話は聞いているが、まだ方向性が定まっておらず、市としては今後の動きを注視していきたい」としている。