二度目の大相撲ロンドン公演が音楽の殿堂ロイヤル・アルバート・ホールで行われ、連日、満員の観客が熱狂のうちに5日間の幕を閉じた。国内の地方巡業同様、取組は真剣勝負ではないが、会場には国技館と同じ設計の土俵、伊勢神宮と同じ様式のつり屋根(屋形)が設えられた。
前回のロンドンは、若貴兄弟がともに平幕で競うように番付を駆け上がっていたころ。大量の塩を豪快にまく水戸泉は「ソルトシェーカー」と呼ばれ、今回も業師の宇良が「マジシャン」、押し相撲の豪ノ山は「ブルドーザー」というニックネームがつき、翔猿はしこ名を「フライングモンキー」と英訳された。
いま、相撲が本当に面白い。理由は単純。すべての力士がガチ(真剣勝負)でぶつかり合い、昔の八百長のような無気力相撲がないからだ。その分、けがをするリスクも大きく、初日から千秋楽まで、まさに命がけで土俵を務めている。
おそらく、幕内は全員が首やひざに古傷を抱えており、15日間通して100%の力を出せる力士は1人もいない。満身創痍のベテランは休場を挟みながら年3場所が関の山。それほどけがは常に隣り合わせだが、この本気こそが相撲の人気を支え、ファンの声援に力士は奮い立つ。
千秋楽の表彰式では、幕内最高優勝力士に天皇賜杯、続いて内閣総理大臣杯が贈られる。来月の九州場所は初の女性総理が土俵に上がる可能性も出てきたが、女人禁制を理由に協会が待ったをかけるのは確実。過去には女性官房長官や地方場所開催地の知事が「上がりたい」といって議論となったこともある。今回は見識ある保守派の総理、伝統を重んじていただけるだろうし、そんな騒ぎにかかずらっている暇もなかろう。(静)


