
実用書、自己啓発の分野でエッセイ的要素も含んだ本書。この本のタイトルが目についたとき、人生は気分が10割だといわれても気分だけでどうにかなるものではないだろうと否定的な気持ちで手に取った。韓国人の著書であるということで、感じることも多少は違う、そんな目線からの好奇心も含めページをめくる。しかしそこには私たち日本人も悩んでいるようなタイトルが並んでおり、気分に流されない方法や気持ちを味方につけて生きるための実践的なアドバイスが並んでいた。
仕事や家事育児に追われ、焦りや不安にのまれてしまうとき。忘れていた用事を思い出し、後悔に押しつぶされそうになる時。誰かの言葉に傷つき、馬鹿にされていると感じるとき。そんな心の不安や葛藤に優しい言葉だけじゃなく、考え方や相手との心の距離の取り方などを説いてくれている。
著者の少し勢いのある言葉が疲れた気持ちに不思議と刺さる。時間は無限じゃないことにも触れており、すぐに動き出さないともったいないと、忙しい日々に考えが立ち止まってしまう自分をそっと前へ押し出してくれた。
読み進めるうちに過去の自分と照らし合わせ、「あの日、自分はこんな風に考えればよかったのか」「あの時の対応はこれでよかった」などと気づくこともでき、自分を肯定する作業もできて勇気づけられた。
現代は休む暇も自分を俯瞰する暇もない忙しい日々を送っている方が多い中、そっと寄り添い前向きな気持ちにさせてくれる。静かな休日や寝る前のひとときに読めば、明日を少し元気に迎えることができる一冊だ。(灯)


