とあるセレクトショップでショッピングの取材をさせて頂いたとき、店主さんの指先の桜色にふと目が留まって、素敵だなと思った。短く切りそろえられた爪に、上品な淡いピンク色のマニキュア。わたしより少しご年配だろうか、年を重ねたシワのある手にその桜色がよく馴染んで、美しかった。そして、そのマニキュアが爪の先のほうでところどころ少し落ちているところにもまた、ふだん台所仕事などされているのかな、と家庭的な面が想像されて、親近感がわいた。

 わたしも子を持つまでは、マニキュアをこまめに塗った。少し爪を長めにして可愛く色を付け、指先のオシャレを楽しんだ。けれど、家事や子育てに忙しくするうち、マニキュアなどまるでしなくなってしまった。

 店主さんの美しい指先を見て、女子としてこれではいけない、と反省。その日、家に帰って、久しぶりにマニキュアを塗った。わたしも年相応に手にシワが出てきて、家事や楽器をするから爪も長くしていない。けれどこんな手でもマニキュアを塗ると、ちょっとキレイに見えてうれしくなった。やっぱり女子はオシャレ心を忘れちゃいけない、キレイにしていなくっちゃ、と、なんだか気持ちが華やいだ。

 それから数日はご機嫌。でも見ているうちに、毎日の台所仕事で爪の先の色が落ちてきた。そして極めつけ、バンドの練習でベースをガンガン弾いたら、ピックを持つ右手の人差し指の爪が弦で擦れるのだろう、マニキュアが派手に剥がれた。

 むむむむむ、爪のオシャレを継続するのは難しい。とりあえずマニキュアを塗り直したけれど、いつまで続けられるかあんまり自信がない。(亜)