記紀によると、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が天孫降臨する際、天照大神(アマテラスオオミカミ)は高天原で育てられた稲穂を授けられ、米を作る暮らしがこの国の繁栄と平和をもたらすとお教えになられた。記紀では我が国を「豊葦原の千五百秋の瑞穂の国」「豊葦原の瑞穂国」と記される。美しく稲穂が実り栄える国という今にも伝わる日本の美しい姿である。

 先日、伊勢神宮を参拝する機会があった。天照大神が祀られる内宮の前に、天照大神の食事を司る豊受大御神を祀る外宮を参拝した。外宮では、日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)という神事が朝と夕の2回、毎日行われていることを知った。御飯三盛をはじめ、かつお節、魚、野菜、果物など決まった品目をその都度調理する。特別に起こした火で調理されるが、その火は神職が古代さながらに火鑽具(ひきりぐ)で起こした火でなければならないという。ご鎮座から約1500年毎日続いているということに感嘆しかなかった。普段、当たり前に食べている食事に感謝しなければという思いも新たにした。

 日高地方も稲穂が黄金色に実り、稲刈りシーズン真っただ中。美しく稲穂が実る国であるのは間違いないが、昨年から米の高騰が社会問題となり、新米が流通し出した今も大きな変化はない。消費者には安くなるにこしたことはないが、それによって生産者が苦しくなるのはバランスがよくない。米をはじめ物価高でも購買意欲が出るよう手取りが増える施策が求められる。自民党総裁選が22日に告示される。総理になるとは限らないが、2000年以上続く日本、栄える国へ導いてくれるリーダーはいかに。(片)