台湾有事を真正面から扱った台湾のドラマ「零日攻撃」がアマゾン・プライム・ビデオで配信されている。中国軍機の防空識別圏への侵入など、現実にグレーゾーン行為が日常的に繰り返されているが、所詮はドラマの話か。日本人の危機意識の高まりは感じられない。

 いま、日本で最もホットな政治トピックは石破首相の進退問題。就任から3回の選挙すべてで大敗し、参院選で国民から圧倒的なNOを突きつけられながら、支持率が伸びた世論調査に気をよくしたか。自ら辞める気はさらさらないらしい。

 現政権に批判的な人は、こんな無責任なリーダーをなぜ辞めさせられないのか、自民党のガバナンスに首をかしげる。実際、このところの石破報道に、情報発信の主役の座を動画サイトとSNSに奪われつつある既存メディアの断末魔を見る思いがする。

 参院選の敗因は首相個人ではなく、旧安倍派に端を発した政治とカネの問題が大きかったというが、選挙は物価高対策が最大の争点だったはず。「石破辞めるな」デモは何度も繰り返す一方、その何倍も大規模な「石破辞めろ」デモは完全に無視。そのなりふりかまわぬ姿勢に、世論を敵視しているかのようないらだち、焦りを感じる。

 党内では総裁選への流れが加速し、次の総裁候補として高市氏、小泉氏、小林氏らの名が挙がっている。中国の抗日戦勝80周年記念軍事パレードでは中ロ朝の首領が顔をそろえ、台湾と日本を狙う最新兵器の数々に、誇らしげに手をたたいていた。この光景を見ながら、一部既存メディアはまだ高市氏を「タカ派」「対中強硬派」と呼ぶ。台湾有事が現実に起きたとき、もはや日本人に信頼できる情報は届かないのかもしれない。(静)