スマートフォンが普及して久しい。今や仕事でも日常生活でも、スマホはなくてはならない存在だ。わずかな空き時間があれば、つい無意識のうちに手に取り、画面を操作してしまう。大げさに聞こえるかもしれないが、現代人にとってスマホは「生きる上で欠かせないアイテム」と言っても過言ではないだろう。

 そんな中、先日、思いがけない出来事が起きた。スマホを操作中、突然画面に「シャットダウンします」と表示され、そのまま電源が切れてしまった。原因はスマホを水に濡らしてしまったことのようだ。何度も電源を入れようと試みたのだが、起動することはなく完全に沈黙。その瞬間、まず頭をよぎったのは「仕事上の大切な連絡先の電話番号は?」「家族や友人との思い出の写真はどうなるのか?」という焦りだった。スマホが壊れたという事実以上に、そこに詰まっていた日常のデータがなくなってしまうことに不安が募った。

 結局、修理はできず、翌日、新しい端末を購入。データはクラウドに保存されていたことで無事に復旧できた。ホッと胸をなでおろした一方で、スマホを持たない間、仕事中も「取材先から大事な連絡が来ているのでは」と気が気でなく、集中できなかった。

 スマホは間違いなく便利な道具だ。でも、使う側が意識しなければ、気づかないうちに「使われる側」になってしまう。今回のトラブルは、一見すればただの機械の故障。しかし、その裏にはリアルの大切さを忘れ、スマホに依存しすぎている事実があると再認識する機会にもなった。たまにはスマホを置き、意識的にインターネットやSNSのデジタルから距離を置く時間を持つことも、現代人にとっては必要なのかもしれない。(雄)