テレビの人気番組「なんでも鑑定団」は、視聴者や芸能人自慢の「お宝」を鑑定する番組である。たいていは贋作や模造品で、その真贋に興味の湧く番組ではある。世の中には贋作を専門に売買する詐欺師も存在する。本作品はそんな詐欺師たちの化かし合いの短編集だ。

 表題作は敦賀市にある旧家の老婆と、京都市の「初出し屋」(一般民家から骨董品や美術品を買い取る業者)との騙し合いである。しかし、骨董品や美術品ばかりに高値が付くわけではない。マンガの原稿にも高値が付いたりする。例えば手塚治虫の「リボンの騎士」の原画は百五十万円、石ノ森章太郎の「仮面ライダー」は百万円などである。

 自宅の蔵に眠る骨董品を処分したいと旧家の老婆は「初出し屋」に話を持ち掛けた。この旧家に「芦屋の茶釜」があった。茶碗の光悦、茶掛けの宗旦、そして茶道具の逸品「芦屋の茶釜」である。しかしこれらには偽物も多いことで知られる。この旧家のは本物間違いなしと京都の「初出し屋」は老婆を騙して持ち帰ったのである。

 これに気付いた老婆はなんとか復讐できないかと一計を案じ、考えたのが同じ旧家の親戚が持っているという敦賀市出身の有名マンガ家の初版本と原画であった。初版本は本物であったが、原画の方は真っ赤な偽物。知り合いの漫画家に描かせた贋作である。本物に混ぜておくというのがミソである。これを「初出し屋」に売り付けるのだ。さて、いかなる結末が待ち受けるのか? 騙し騙されの化かし合い、ゾクゾクする結末が待っている。(秀)