インドネシアの母子手帳を手に講演する中村さん

 御坊ロータリークラブ(宮所忠喜会長)主催の特別公開講座が23日、御坊商工会館で開かれ、東南アジアやアフリカ諸国に日本式の母子手帳を広めた御坊市薗出身の日本WHO協会理事長中村安秀さん(73)が講演した。

 中村さんは小学4年まで御坊小学校に通い、その後は父親の仕事の関係で大阪へ。東京大学医学部を卒業し、都立府中病院で小児科勤務などを経て、1986年に国際協力機構(JICA)の母子保健専門家としてインドネシアへ赴任した。母子手帳がなかった同国に日本の母子手帳制度を広め、2021年にはニューズウィーク日本版で「世界に貢献する日本人30」に選出された。

 講演のテーマは「日本生まれ、世界育ちの母子手帳」で、ロータリー会員や地元の医療関係者ら約60人が聴講。中村さんは「インドネシアの北スマトラ州で、3歳で歩けない子どもが診察を受けに来た際、出生時の体重、妊娠中の母親の状況など聞いたが、記録がなかったために何を聞いても『分からない』という返答だった。そのとき、『母子手帳があれば』と痛感したのが普及活動のきっかけ」と説明した。

 1994年には、JICAのプロジェクトでインドネシア版の母子手帳を作成。「医師、看護師、保健ボランティアから好評で、隣接の市町村から母親が越境して手帳をもらいにくることがあった」などと振り返り、2004年までの10年間でインドネシア全土に普及させた。その後もベトナム、エチオピア、パレスチナなどで日本式の母子手帳が広まったことを紹介した。

 最後に大江健三郎の著書「見るまえに跳べ」を引用しながら、「自分が好きだと思い、自分が選ぼうとしている道に気軽にチャレンジしてください」と訴えた。