来月、中国へ行ってしまう白浜町アドベンチャーワールドのジャイアントパンダ、良浜、結浜、彩浜、楓浜の4頭。全国から惜しむ声が聞かれる中、NHKの「ファミリーヒストリー」で彩浜が登場した時の内容が書籍化されていることを知り、読んでみました。

 内容 和歌山県白浜町、アドベンチャーワールドで暮らすパンダたちは、その名に「浜」がつく個体が多いことから「浜家」と呼ばれます。本書は、NHK「ファミリーヒストリー」の2000年1月6日の放送分を書籍化。その時点で浜家の末っ子だった彩浜のルーツを、取材班が探っていきました。
 ポイントは、まず、

 ①浜家の歴代メンバーの写真が満載!
 詳細な解説とともに載っているので、丹念に読み込みながら眺めれば1頭ずつの見分けがつくかも。

 ②彩浜のご先祖たちの物語を紹介
 すごいのは母方の曾祖母、蘇蘇(そそ)の壮絶なパンダ生。元々野生で、銃で狙撃されたり身体検査の麻酔で呼吸が止まったりと、2度も生命の危機に瀕したのに関係者の懸命の治療で見事に蘇生。34歳、人間でいえば100歳の天寿を全うしました。この遺伝子が梅梅、良浜に受け継がれています。
 ③「世界初」を実現 
 冬期のパンダの出産、母パンダが自分で双子を子育てと、パンダの繁殖における世界初の実績を実現したことが詳細に紹介。

 ④番組放送から2年後誕生の楓浜も紹介
 浜家の本当の末っ子、楓浜についてもちゃんとフォロー。誕生直後から数日おきの写真が60枚ずらっと掲載、かわいいのなんの。

 ⑤今年1月に他界したスーパーパパ、永明の写真も満載。
 私は永明のファンだったので、これはうれしい構成です。
 自然繁殖で16頭ものお父さんになった、今や伝説的な存在の永明。テレビニュースなどで、いつも笑っているようなご機嫌の表情で竹をモリモリ食べる様子がなんとも愛敬たっぷりで心ひかれ、画面に写るたび「あっ永明だ」と近くまで行って見ていました。

 本書を通して読むと、パンダの繁殖がどんなに大変か、アドベンチャーワールドが如何にすごいことをやってきたかが分かります。書かれているよりもさらに多くの苦労があったことと推察されますが、「この一冊でパンダ博士になれる」という、気軽に手に取れる楽しい本でもあります。(里)