連日盛況の大阪・関西万博。広い会場のほぼ中心には、万博のテーマを具現化する8人のプロデューサーが企画した8つのパビリオンがある。その中の一つ、紀州梅の会ともコラボする放送作家の小山薫堂さんのパビリオンは「アースマート」。アースとスーパーマーケットを合わせた名で、食が命であることを訴え、スーパーに行ったときに、命のことを思い出してほしいという願いが込められている。メディアデーの時に見学したが、見ごたえのあるパビリオンだった。万博にいった際はぜひ足を運んでほしい。

 小山さんはパビリオン内で、食の未来をよりよくするため、世界に共有したい日本発の食のリストとして25品目をピックアップしている。豆腐やあんこ、わさび、かつお節などとともに梅干しも入っている。かつお節やわさびも日高地方とゆかりがあるが、なんといっても梅干しはみなべ町が日本一の産地。その産地が2年連続の天候不順による不作とひょう被害で窮地に陥っている。ひょう被害の詳細は本紙で何度も報じている通り。日本の食文化を脅かす事態ともいえる。

 先日、みなべ町の友人からひょうの直撃を受けて傷がつき、売り物にならないというウスイエンドウをいただいた。サヤをむいて豆ごはんにして味わったが、スーパーに並ぶ売り物と味は全く変わらず、いつも通りおいしかった。梅も、傷がついていてもジュースや梅酒、梅干しにすれば味や効能はなんら変わりない。見た目重視からの改革が今こそ必要だ。食品ロス改善にもつながる。生産者や加工業者の支援に政治の力は必要だが、消費者の意識を変える取り組みも重要だろう。食は命なのだから。(片)