白浜アドベンチャーワールドの4頭のジャイアントパンダが6月に中国へ返還される。そのニュースは多くの人に大きな驚きと落胆をもって受け止められた◆4頭の名は良浜(らうひん)、結浜(ゆいひん)、彩浜(さいひん)、楓浜(ふうひん)。みんな白浜の「浜」がついていることから「浜家ファミリー」と呼ばれる。良浜は同園で誕生した最初のパンダで、10頭もの子どもを生み育てたビッグママ。結浜はとんがった頭が特徴。彩浜はどっしりと貫禄ある座り方で「社長」の愛称があるとか。楓浜は2020年に生まれた末っ子。誕生直後、活発に動き回る姿がニュースで紹介されたのを覚えている◆以前、あるテレビ番組で同園におけるパンダの歴史が詳しく紹介されていたのを見て感銘を受けた。良浜から楓浜まで、実に17頭が同園では誕生。この繁殖実績は中国以外では最高である。それは個々のパンダへのスタッフの深くきめ細やかな愛情に支えられた、温かい血の通った研究成果であることを、現場を裏側からつぶさにみることで実感した。ジャイアントパンダは絶滅危惧種だったが、保護活動の成果か2016年には1ランク下がって危急種になったという◆今後再びパンダを国内に迎えることについては経済面などの課題があるかも知れないが、人間の乱獲によって絶滅に瀕していた希少動物の保護に資する働きが、政治的思惑などとは別次元のところにある現場の人達の誠実な情熱によって実現したとすれば、それは尊いことではないだろうか◆30年以上にわたる、同園と中国とのジャイアントパンダ保護共同プロジェクト。目覚ましい実績を挙げたその成果が、この大きな愛らしい動物のこれからの保護に生かされていくことを願う。(里)