
御坊市出身の浅見摩紀さん監修による、カンボジアのクメール料理を紹介するレシピ本をご紹介します。25日からインターネット等で発売されます。
内容 クメールとは、カンボジアの主要な民族の名。本書には日本で手に入る材料や調味料を使ったクメール料理5品、「カレーソーメン」「ロックラック」「カボボー・ポット」「豚肉の炒め物のせご飯」「おかえりマンゴー」のレシピが掲載されています。とうもろこしとココナッツミルクのおかゆ「カボボー・ポット」、プレーンヨーグルトにドライマンゴーを一晩漬けこむ「おかえりマンゴー」なんかは、簡単にできておいしそう。ココナッツミルクにオイスターソース、ナンプラーを常備しておけば、このレシピをもとにバリエーションを楽しめそうです。
ページ数という点からいえば決してそうボリュームのあるものではない本書ですが、日ごろ接する機会の少ないカンボジアという国について知っていく入り口となってくれます。
私は学生時代、京都の映画館で「キリング・フィールド」を観たのがカンボジアを知る最初でした。その時にはポル・ポト政権について予備知識がなかったのですが、その後、池上彰著「そうだったのか!現代史」(集英社文庫)の「ポル・ポトという悪夢」の章でその政権の自国民への所業を詳しく知り、あまりのひどさに眩暈がしそうでした。
それからはカンボジアという国名を見るたび胸が痛むほどだったのですが、現在の状況について詳しく知る機会を積極的につくってはこなかったので、今回本書のおかげでカンボジアの「今」に触れられたのは、私にとって有意義なことでした。目覚ましい発展を遂げていること、半面、まだまだ貧困の問題は解決されてはいないことを知ることができました。また、浅見さんへの取材を通じて、カンボジアの人たちが「明るさのなかに奥ゆかしさがあり、日本人と通じる国民性を感じる」「橋や学校をつくったことから、日本人に好意や親近感を持ってくれている」など知ることができ、より近しい国に感じています。そういう「感じ」を持つことが、世界の「今」をよくする方法を考える時に重要な鍵になっていくように思います。浅見さんのレポートにある、まず現地で生の声を聞いて、それからアクションを起こすこと、「心合わせ」が大切との言葉が印象的でした。(里)