新年度が始まる4月。各企業で入社式が行われ、新社会人として大きな一歩を踏み出した若者も多い一方、入社数日で辞職する若者も年々増加。事前説明と入社後の実態が乖離していることが主な退職理由だそうですが、入社した若者と同じく彼らも自身で新たな道を切り開いたといえます。  

 仕事を続けるか辞めるかの決断よりも肝心なことは「自分はどうしたいか、何を大切にしたいか」だと思います。

 口先でこんなことを言っている私もまだまだ若輩者。自分の軸を見失ってばかりです。人生と括るには大げさですが、生きている上で大切にしたいことが明確だと、どんな荒波も乗り越えられるかもしれません。

 何もかもが一新される春、自分を見つめ直してみるのはいかがでしょうか。本書は見失った自分を取り戻す、新たな自分を発見する一冊になっています。

 あらすじ 生きていることに希望を見いだせない中学生の碧。写生授業の日、画板を持って土手で寝ていると見知らぬ女性から「やせてる」と声をかけられ、蜂蜜が入った小瓶をもらった。その小瓶と「蜂蜜をもうひと匙足せば、たぶんあなたの明日は今日より良くなる」という女性の言葉を大事にしながら、碧は30歳に。仕事が長続きしない頼りない恋人、安西と彼の故郷へ行くことになる。結婚するつもりだったが、安西の父は碧を認めない。その街で養蜂家の黒江と出会い、手伝いを始めた碧はたちまち蜂蜜の世界に魅せられる。幾つもの出会いを糧にしつつ、碧は自分の力で居場所を作り出し、碧自身の生をたくましく生きていく。(丸)