
和歌山高専と社会福祉法人博愛会が28日、災害時の避難所利用や平常時の防災・福祉支援等に係る連携・協力に関する協定を締結した。
南海トラフ巨大地震などの災害時には両者が連携。博愛会の施設利用の高齢者を支援し、それぞれの施設、設備を避難所として利用することができるようにする。平常時は▽避難所訓練での施設利用▽避難所運営ボランティアの人材育成▽施設利用高齢者の特性や介護を学ぶ講座の開講▽教員、学生、博愛会職員の交流▽平常時・災害時の施設利用高齢者のケア、避難生活支援の研究――について、連携、協力する。今回、双方の施設が高台の名田町野島で隣接し、連携を取りやすい環境にもあることから協定を締結。高専と社会福祉法人が同様の協定を結ぶのは全国初。
博愛会は日高地方で老人ホームなど7施設があり、425人が利用。災害時に名田へ避難することも想定している。和高専では昨年7月、古い体育館と武道場を統合して建設された総合体育館があり、災害時の避難所として約950人が収容可能。約20基分のマンホールトイレも備えており、すでに2018年9月の台風時には博愛会の高齢者がマンホールトイレを借りたこともあった。また、和歌山高専の学生850人のうち約500人が寮生となっており、災害時に高齢者を支援する若い力として期待されている。
協定締結式は和高専で行われ、博愛会の小林隆弘理事長は「和高専との連携、協力態勢をさらに整えることはとても重要。学生の存在は非常に心強い」、和高専の井上示恩校長は「協定を機に、学生の防災意識や福祉への関心が高まることにも期待している」と話した。