御坊市の大成幼稚園が園児数の減少に伴い今月末で閉園することになり、1969年4月の開園以来、56年間の歴史にピリオドを打つ。去る20日には閉園セレモニーが行われ、多くの卒園生や地元住民らが園への感謝と別れの思いを乗せてバルーンリリースを行った。風船は青空高く飛んでいきやがて見えなくなったが、園で過ごした思い出はいつまでも消えることなく、一人ひとりの胸に刻まれていることだろう。筆者の妻も大成幼稚園のOGであり、久々にアルバムを開いて自身の園での生活発表会や遠足の写真を懐かしそうに眺めていた。

 自分が過ごした園や学校がなくなることには寂しさも感じるが、人口減少、少子化の昨今、保育所や幼稚園、小中学校の統廃合の問題は避けて通れない。もちろん少人数教育は学力や先生の目が行き届きやすいなどの面でメリットがあることも理解しており、筆者自身も旧美山村にあった少人数の川原河小、川上第一中の卒業生だったが、特に不自由を感じたことはない。ただ、高校に行ったときはいきなり1学年11クラスの大所帯で多少の戸惑いを感じたし、最初はほかの同じ学校から来た生徒同士がすぐにグループを作って楽しそうにする姿を横目で見ていたのを思い出す。

 市の人口はついに2万1000人を切り、あと2、3年もすれば2万人を割る見通し。昨年は年間の出生数が初めて100人を割り込み少子化が深刻化している。人口減少抑制へ取り組むべきことは多いが、一方でやはり保育所・幼稚園、小中学校の統合は待ったなしの重要課題であり、少しでも早く本腰を入れて議論を始める時ではないか。(吉)