
17日の御坊市議会産業厚生常任委員会では執行部から塩屋公共下水道事業が、新年度の予算を最終にいよいよ完了することが報告された。04年度から22年の歳月をかけて約60億円を投入し、周辺地域の水質保全と公衆衛生の向上に寄与。一方で塩屋処理区の各家庭から下水への接続率は今年2月末現在、全体で32・6%と低く、当面は50%を目標に普及に努める。
同事業の対象戸数は831戸(南塩屋412、森岡41、猪野々49、北塩屋278、湊42、天田9)。全体計画によると、処理場本体工事をメインに管路総延長27・5㌔の敷設、21カ所の中継ポンプ設置などがあり、処理場本体は23年3月末に完成し、同年4月から一部地域で供用開始。その後も地区ごとに順次管路工事などを行っており、今年度末時点での進捗(しんちょく)率は96%に到達する。
新年度予算は2億3657万5000円で、残り1・2㌔の管路工事と中継ポンプ1カ所を整備。工事規模が大きいため予算の一部を次年度に繰り越し、工事の完成は26年度中となる見通し。総事業費60億7000万円は工事費のほか、測量・設計、用地買収、雨水対策などを含む額で、うち国の社会資本整備総合交付金で2分の1の補助。受益者負担は全体のおよそ5%で、残りが起債を含む市の負担。
塩屋が市内では唯一の公共下水道事業となり、富安、野島、加尾、上野・楠井の4地区は農業集落排水事業で整備済み。当初、旧御坊町や藤田、湯川の御坊処理区でも公共下水道事業の構想はあったが、住宅が密集、面積が大きいなど財政面で大きな負担となることから、22年3月、公共下水道事業を断念し、世帯ごとに合併浄化槽を推進する方針に切り替えた。