由良町が今年1月1日で町政施行70周年を迎えた。そんな記念すべき年だが、人口の減少が続いており、総人口は2月末時点で4990人となり、ついに5000人を下回った。

 町の人口は、1955年(昭和30年)に旧由良町・白崎村・衣奈村が合併して誕生した当初は1万人を超えていた。1970年代に一時的に人口増加が見られたが、1982年の増加を最後に減少に転じ、1988年には8000人台、1999年には7000人台、2009年には6000人台、2017年からは5000人台となった。

 減少の要因として、2014年頃までは転出者が転入者を上回る「社会減」が中心だったが、2015年以降は死亡者数が出生数を上回る「自然減」が主な要因。人口4990人は町誕生時の約半数となり、今後、自然減の減少幅を減らすために出生数を増やすことも大切だが、転入を増やし、転出を減らすことも依然として必要だ。

 ただ由良町は2年前の大雨時には道路が封鎖されて孤立したり、津波時には沿岸部の被害が予想されたりと地理的に災害リスクが高い。さらに、店舗の少なさや隣町への移動時間の長さが生活利便性の課題となっている。

 一方、日高地方では最も北にあるため、和歌山市や大阪方面へアクセスしやすいことはメリットである。その利点を生かすためには、国などへの要望活動を続けている国道42号の水越峠の改良が不可欠だ。町が構想している畑、中地区などへ町の機能を移転するコンパクトシティ化との相性もいいだろう。まだまだ遠い話になるだろうが、いずれは国道改良が実現し、由良町に新たな息吹をもたらすと信じたい。(城)