甲斐校長から卒業証書を受け取る卒業生

 2022年に教職員への給料未払いが発覚し、ストライキに発展するなどトラブルが相次いだ日高川町和佐の和歌山南陵高校(甲斐三樹彦校長)で2日、卒業式が行われた。23年度と24年度は生徒募集をできなかったため、在校生の1、2年生がいない少し寂しい式となったが、高校生活3年間を乗り越えた18人は笑顔で卒業証書を受け取り、新たな未来へと歩み始めた。

 式では国歌、昨年に制作されたレゲエ調の校歌の斉唱に続いて卒業証書を授与。式辞で甲斐校長は冒頭、「門出を祝う言葉に入れるかどうか迷いましたが、卒業生、ご家族の皆さんの気持ちを考えると触れなければならないと思います」とし、トラブル続きだった高校生活に対して「決して平坦な道ではなかったと思う。大人の都合により、不安や不満の連続だった思います。皆さん、本当に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。卒業生に対しては一人ひとりの名前を呼びながらそれぞれの長所などを述べ、「笑顔で癒やされました」「いつも話しかけてくれてありがとう」などと思い出や感謝の気持ちを伝え、最後に「3年間やり切った自分を褒め、仲間とともに乗り越えたことを誇りに思ってください。きょうの日は別れではなく、未来への始まりの日。また会いましょうと言わせてください。南陵も皆さんも、旅のスタートは今からです。いい人生の旅をしましょう」と涙を流しながらエールを送った。

 卒業生を代表して酒井珀君が「困難なことがあってもくじけずひるまず、校歌を口ずさみながら前を向いて未来へ邁進します」と決意を語った。

 最後に全員で式歌「ありがとうの輪」を斉唱した。