
大阪から由良町阿戸に移住した石河宏(ひろ)さん(35)が、老猫ホームの運営や保護猫の譲渡活動を行う「山猫の家」を運営している。2年前から空き家を活用して、取り組みを始め、現在は30匹の猫とともに生活。野良猫の数を減らすためのTNR活動にも力を入れ、「人と猫が共生できる社会を目指したい」と話している。
石河さんは三重県出身。大阪ではペットシッター会社に勤めるかたわら、保護猫を預かる団体でボランティア活動を行い、自宅でも数匹の猫を受け入れていた。2023年、有田地方でドッグトレーナー業などを手がける会社に転職(現在は退職)することになり、会社の近くで、猫のために風通しと日当たりが良く、広い家を探す中で現在の住居を見つけた。
「山猫の家」では、飼い主の病気や死亡などで世話ができなくなった猫を預かる「老猫ホーム」や、野良猫の保護・譲渡を中心に活動。現在、老猫6匹、保護猫24匹と生活を共にしている。猫の餌代や医療費、暖房器具の電気代などの費用は、SNSを通じた寄付や、Amazonの「保護犬・保護猫支援プログラム」による支援を受けながら賄っている。また、かつて舞台照明の仕事に携わっていた経験などを生かしたアルバイトもしているという。
「小さい頃からムツゴロウ(畑正憲)さんが好きで、自然と動物も好きになりました」と石河さん。30匹の猫との暮らしについては「一緒にいるのが当たり前になっています」と笑顔を見せる。由良町での生活については、「海が近く環境が良い上に、周囲の方々もとても親切にしてくれます。空き家も住まなくなってから1年ほどだったため、そのまま使うことができました」と話す。
保護猫の管理については、SNSのXやインスタグラムで支援を呼びかけるほか、TNR活動(Trap=捕獲、Neuter=不妊手術、Return=元の場所に戻す)の啓発にも力を入れている。「不妊手術を施すことで猫の寿命が延び、性格も穏やかになります。また、排泄物の臭いが軽減することで猫嫌いな人が減るきっかけにもなると思います」と、理解を呼びかけている。