子どもの頃から動作が何でも人より遅い。食べるのも走るのも遅く、工作や折り紙も時間内にできたことはない。それが年齢を重ねてますます遅くなってきた。そうなると時間に間に合わせようと、急ぐというよりは慌てる。慌てるとろくなことがない。先日、久しぶりに道で転んでしまった◆駐車場へ小走りに向かっていたところ路面の凹凸に足をとられたようで、あっと思った時にはもう地面が目の前に迫っていた。自分で思うほど足が上がっていなかったらしい。骨や筋肉などに異常がないかどうか感覚で探り、眼鏡は、と周囲をしばらく探してから、ちゃんと鼻の上にのっていることに気づいた◆元々バランス感覚も悪い。学生時に過ごした京都ではバスをよく利用したが、よく揺れるので、つり革を握りしめたまま1回転して隣の人の肩にめりこむこともしばしばだった。雪道の買い物帰りには、両手に重い袋を下げたまま滑って仰向けに転びそうになり、とっさに片足を前へ突き出すと同時に両手をやじろべえのように広げて持ちこたえた。素直に転んでいた方がまだ体裁がよかったかもしれないが、そんなことができたのはやはり20代だからで、今なら絶対に無理だ◆今回、結果的には両手のひらと両方の膝小僧をすりむいただけという子ども並みのけがで済んだのは幸いであった。あらためて転倒予防の心得をネットで調べると、筋力をつける、バランス力を鍛える等さまざまあるが、自分ではやはり「慌てない」ことに尽きると思った。「急ぐ」と「慌てる」は全く違う。慌てると一つ一つの動作がおろそかになる。「急いでも、慌てない」をキーワードにしようと、傷バンドを張り巡らせた手のひらを見ながらあらためて肝に銘じた。(里)