トランプ米国大統領の就任から2週間が過ぎた。初日はいきなり史上最多となる26本もの大統領令に署名し、選挙前から掲げていた不法移民対策では南部の国境地帯に非常事態を宣言。軍を増派して不法移民の摘発強化に乗り出した。
選挙は激戦州をすべて制したトランプ氏の圧勝だったとはいえ、州ごとの選挙人ではなく全米の一般得票率の差はわずかに1・5%。トランプ氏が進める自国第一、現実主義の政策は、さらに国民の分断、対立を深刻化させかねない。
民主党の前政権が進めてきた国際協調、環境問題や人権を重視する政策をひっくり返し、温暖化防止の国際的枠組みであるパリ協定からの再離脱を決め、自国の利益にかなう化石燃料を「掘って掘って掘りまくれ!」と叫んだが…。
すべての人にとってのよりよい未来。それはもちろん、だれもが賛同する目標ではあるが、核兵器のない平和な社会、CO2を出さないクリーンな地球環境、差別のない世の中をつくるには、一人ひとりの命と暮らしを守る地道な取り組みが求められる。
一方で、いつになるか、本当に実現するか分からぬ理想の政策に巨額の税金を投じるより、目の前の実現可能な政策を支持する人たちも少なくない。米国の政権交代に伴い、国際社会は理想から現実へ、協調から対立への大転換が起ころうとしている。
日本ではいま、なんの罪も落ち度もない人が陥没した道路に落ち、最強寒波のなかも、本格捜索のための懸命の準備作業が夜を徹して続けられ、周辺の多くの住民、企業、飲食店なども節水等の不便に黙って協力を惜しまない。ここに、日本人の日本人たるある種の理想の実現を見る思いがする。奇跡を信じたい。(静)


