最近では自然災害や殺人事件、特殊詐欺、世界情勢、芸能人スキャンダルなどのニュースがあり、大手メディアが取り上げるのは当然。一方で地方の恒例のイベントやスポーツ大会、行政の取り組みなど、よほど目新しいこと、他の地域と違っている点などがない限り、大手メディアが取り上げることはほとんどない。

 筆者らの地方紙としてはもちろん大手メディアに負けない視点でのニュースやスクープを追いかけつつ、地域に密着した話題も取材させていただいている。記事の片隅にちょっと掲載された名前、写真の端で写った人の姿、ともすれば見落としそうなところでも、見ている人は見ているのだ。それが御坊・日高のような田舎ならなおさら、新聞記事が基で話題になることもある。ところが、やはり視聴者数や読者数が圧倒的に多い大手メディアの影響力には到底かなわないと、つくづく思い知らされる。

 去る2日、御坊市でNHKのど自慢の公開生放送が行われた。200組が出場した予選を勝ち抜いた20組が熱唱。御坊や周辺町を巻き込んで大きな話題になった。本紙も告知記事を書かせていただき、手前味噌ながら盛り上げに一役買わせていただいたとは思うが、人気テレビ番組の生放送は地元内外への発信力が桁違いである。

 日高新報が大手メディアの発信力、影響力に勝つことは難しい。ただ、地方紙だからこそできる地域密着のネタ、着眼点があり、それを追い求めることで大手メディアに負けない紙面作りができるはず。ホットな話題を伝え、地域の水先案内人であるべき半面、本紙の情報が井戸端会議のお茶請けの一つにもなれば幸いである。 (吉)