奈良盆地の東の山裾を縫うように、南北に続く「山の辺の道」と呼ばれる古道がある。桜井市の三輪山の麓から纏向、石上神宮、さらに北の平城京へ。道沿いには記紀、万葉集ゆかりの地名や伝説が残り、多くの史跡を見ることができる。
ウオーキング向けの人気コースとしては、北と南の2つがある。南は天理の石上神宮から桜井の三輪山までざっと16㌔。とくに何もないが、畝傍山、耳成山、天の香久山の大和三山を眺めながら、曲がりくねった小路をひたすら歩く。
纏向遺跡の箸墓古墳は3世紀中頃~後半に造られた前方後円墳。奈良県のホームページによると、築造時期や規模の大きさから日本列島で最初の大王墓とみられ、邪馬台国の女王卑弥呼の墓と考える研究者も少なくないという。
三輪山には、山全体を御神体とする本殿のない大神(おおみわ)神社がある。国内有数のパワースポットとして人気があり、先の連休は参拝客でごった返していた。そのあまりの多さにびっくりして、地元のおばちゃんに聞いてみると、今年は特別、人が多いという。理由は「みぃさんやからね」。
大神神社の主祭神は国造りの神様、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)で、境内の杉の巨木に棲む白蛇に顕現(化身)すると言い伝えられ、その木(巳の神杉)の周りには蛇が好きな卵がお供えされている。「みぃさん」とは地元の人が親しみを込めて呼ぶ神様「巳ぃさん」。巳年の今年はいつも以上に人の心を強く引き寄せているらしい。
この点、熊野古道紀伊路沿いの道成寺も同様、蛇にちなんだ伝説が残る参拝スポット。「巳ぃさん」より道成寺の「じゃあ(蛇ぁ)さん」の方が、いただけるパワーが強そうな気がしません? (静)