葉が青々と繁り、順調に生育しているわさびを手入れする山本塾長㊧と中田所長

 印南町真妻地区が発祥の「真妻わさび」の栽培を再興させようと、地元のまちづくり団体真妻やまびこ塾(山本育男塾長)と高機能炭和歌山研究所(中田稔所長)が昨年1月、田ノ垣内の耕作放棄地に定植した真妻わさびが順調に生育している。少量の湧き水でも栽培できるかの実証実験で、沈殿した泥を定期的に排出するなど工夫し、今のところ予想以上の出来。成果が出れば将来的にブランド産地としての生産量アップが期待される。

 田ノ垣内地内の山あいにある耕作放棄地に少量の湧き水があり、畑わさびが自生していたことに着目した山本塾長が真妻わさびを栽培しようと考えていたところ、中田所長から梅の種の炭を使った真妻わさびの栽培地を探しているとの連絡があり、一緒に栽培の実証実験を行うことにした。県の農業農村活性化支援モデル事業の補助を受け、昨年1月25日に定植した。

 わさびは豊富な水量が必要とされるが、少量で実現しようと中田所長が栽培方法を考案。工事現場で使われる直径約50㌢のコルゲートパイプを半分に切り、段差をつけて畑に設置。パイプの中には砂利を敷き詰め、山の上流から流れる湧き水の量を調節し、中田所長が特許を取得している梅の種の炭が入った袋を所々に配置。わさびは自身が出す毒素(アレロパシー物質)によって身を守る反面、実が大きくなるのを阻害するといわれており、梅の種の炭が毒素を吸着する効果を狙った。コルゲートパイプの底にたまった泥に毒素が沈殿する可能性があるため、定期的に排出するなど独自の栽培方法を実践している。

 わさびは水温が重要なポイントで、20度以上になると病気の確率が大きく上がるといわれている。猛暑だった昨夏、20度を超える日もあったが、影響を受けることなく生育。定植から半年後の昨年9月、真妻わさび生産者の平井健さん(43)=平井わさび園代表=に見てもらった時も、予想以上の出来だと太鼓判を押してもらったという。

 大きく育つまでに2年以上かかるため、収穫は来年5月ごろをめどにしている。この方法で栽培に成功できれば、別の同じような条件の耕作放棄地にも定植し数を増やしていく考え。中田所長は「これほど生育するとは思わなかった。このまま順調に育ってほしい」と願いを込め、山本塾長は「最大の山場になる2年目の夏を乗り越えてほしい。安定生産できれば商品化を目指したい」と意欲を見せた。