先日、文部科学省が全国の小学生から高校生までを対象とした視力調査の結果を公表した。それによると、裸眼視力1・0に満たない割合は幼稚園が22・9%、小学校が37・8%、中学校が60・9%、高校が67・8%だった。調査は毎年実施しているが、今回は過去最悪だった前回とほぼ横ばい。スマホやタブレット端末による動画の視聴やゲームなどが要因という。
筆者も子どもの頃から目が悪かった。小学校の高学年ごろから黒板に書いている字が見えにくくなり、中学1年から眼鏡をかけ始めた。慣れると特に不自由を感じないが、それでも湯気が立つような食べ物を食べるときにはレンズが曇ってしまうし、入浴時など着用することができない。スポーツでも不自由に感じてしまうことが多く、特にサッカーなどでは眼鏡をかけてプレーすることができないためボールが見えにくい。眼鏡のない生活ができればと思うこともある。
ただ、世の中には見たくないものもたくさんある。例えば、凶悪犯罪などがそれに当たり、特に小さい子どもが残虐な事件に巻き込まれたりすると、目をそむけたくなる。しかし、その事件がなぜ起こったのか、どうして防ぐことができなかったのかを追及することも大切。それを知るのは肉眼ではなく、見えない真実を確かめる「心の目」。複雑化する現代社会では特に重要で、大きく心眼を見開き、物事の本質を見抜かなければならない。
心眼の〝視力〟は経験や正しい情報に左右される。人と人とのつながりが希薄になり、常にスマホを片手にする子どもたちが増えている。インターネット上の情報がすべて正しいとは言い難い。子どもたちの心の目までも低下してしまうのではないか。(雄)