
生徒募集停止措置が解除された和歌山南陵高校(日高川町和佐)の甲斐三樹彦理事長(52)が3日、同校で記者会見し、「2月8日(前期)と3月22日(後期)に入学試験を実施する」と発表した。今後は新しく剣道部やラグビー部を創設する考えを明らかにしたほか、南海大地震の防災拠点となるような学校づくりも行うという。
同校は2022年5月、教職員が給与未払いを理由にストライキする事態が発生し、管轄する静岡県は運営団体の学校法人南陵学園(静岡県)に生徒募集停止措置の命令を出していた。今年4月、法人の理事長に甲斐氏が就任し、経営陣を一新。資金の確保などに取り組み、運営に必要な財産の確保。先月29日、生徒募集停止命令が解除された。
甲斐理事長は会見で「解除まで時間がかかったが、ほっとしている。これからも行政や地域の皆さんの指導をいただきながら、健全で安定した学校運営を目指していきたい」と述べ、「生徒たちが学校生活を楽しく過ごしている様子や措置が解除されて喜んでくれた姿をみると、今までやってきたことが間違いではなかったと思った」と振り返った。
同校は普通科の中にアスリートコースと芸術コースを設置し、定員は120人。スポーツに関する部活動では新しく剣道部やラグビー部を創設する考えもあるという。芸術についても地域の社会人や大学生らでつくる吹奏楽の「南陵音楽隊」を組織し、生徒指導などを行っていくことを計画している。
近い将来に発生するといわれる南海地震に対しても学校が防災拠点の役割を目指し、在校生に介護、工事用の車両、ドローン操縦などの資格を積極的に取得させ、万一の際には避難者の支援や被害現場の確認や復旧にサポートできるようにしたいという。