和歌山県出身の人気小説家、奉(たてまつり)さんが由良町の3公民館に、自身の作品「無能と言われ続けた魔導師、実は世界最強なのに幽閉されていたので自覚なし」を寄贈した。町の職員と知り合いだったことから由良に縁を感じ、デビュー10周年を記念して寄贈。「縁がある由良町の多くの方に楽しんでいただければ」と話している。
奉さんは本名や出身市町村など詳細を公表していないが、約10年前にライトノベル「神話伝説の英雄の異世界譚」でデビューし、全13巻で売り上げ80万部以上の人気作となり、英語版として海外でも楽しまれている。
今作は2022年から始まったシリーズで、帝国貴族令息の主人公アルスは、神々からギフト「聴覚」を生まれながらに授かったが、その効果はただ「耳が良くなる」だけで、無能の烙印を押され、結界で封印された塔に幽閉される。幽閉中に聴覚で聞いた魔法を自身も使えることがわかり、人並み外れた聴力で神々の詠唱をも会得し、世界最強になった状態で封印の外の世界へ旅立つ物語。
アマゾンのレビューはシリーズ合わせて500近くあり、評価も☆4以上で、略称「むじかく」として人気。寄贈は現在出ている6巻のセットで、中央、白崎、衣奈の3公民館に置いている。
奉さんは町職員とのつながりで何度も由良町を訪れており、白崎などの観光名所や由良祭なども見に来たことがある。「小説家デビュー10年で、由良町に何かお役に立てることができないかと思い、寄贈させていただきました。皆さんに楽しんで読んでいただければ幸いです」と話している。