ベッドの耐荷重性を確認しグーサインを出す小田さん㊥と森さん㊨、岩下さん

 由良町畑出身の小田和史さん(41)=大阪府池田市在住=が、地震の家屋崩壊から身を守る防災家具の開発に取り組んでいる。このほど江ノ駒地内で3つの家具の耐荷重実験を行い、性能の有用性を確認。今後改良を重ね、年内の販売開始を目指しており、「まずは地元由良町でPRし、助かる命を増やしていきたい」と話す。

 小田さんは産業用機械メーカーに19年間勤めていたが、防災士の資格を持つなどかねて関心があった「防災」と趣味のインテリアから、「防災家具」を作る仕事を始めたいと思い、会社を辞め起業した。

 開発している家具はダイニングテーブル、学習机、ベッドの3つ。いずれも地震で家の天井や屋根が崩壊したことを想定し、テーブルと机は下に隠れて身を守るために、ベッドは就寝部の上をフレームで囲って身を守るようになっている。

 江ノ駒での実験では丈夫な素材を使用し、脚を増やしたり補強材を入れるなどした試作品の耐荷重検査を行った。木造3階建ての家が崩壊した際にかかる重量などを踏まえ、1個1・25㌧のコンクリートブロックを学習机には4個、ベッドには5個、ダイニングテーブルには6個とそれぞれの面積に応じた個数を置き、耐久性を調べた。結果、3つとも十分な耐久性があることを確認。今後、さらに改良を加えて製品化を目指す。製品名は「DEFEND」。

 小田さんは「阪神大震災の犠牲者の死因は圧死が77%を占めたが、家屋の耐震補強は行政の補助があっても費用が莫大で個人では難しいのが現状。防災家具を使うことで一人でも助かる命を救えれば」と話している。

 販売はネットを中心に行っていく。検証実験には小田さんの中高時代の同級生の森幹也さん(41)=日高川町=、岩下和寛さん(41)=由良町=も協力した。