
「令和の米騒動」とまで言われる米不足が解消されつつあるが、小売店に並び始めた新米の価格が全国的に高騰している。日高地方のスーパーでも昨年の約1・5倍にはね上がり、消費者からは「毎日食べる主食の値段が上がるのは厳しい」という声が聞かれる。背景には農業資材高などによる生産コスト上昇や持続的な稲作経営へ向けた概算金(仮渡し金)の引き上げなどがあるとみられている。
先月、宮崎県沖で発生した地震で巨大地震注意情報が発表され、備蓄米として買い急ぐ消費者が増え、一時はスーパーの米が品薄になったが、今月に入って全国各地で生産された新米が入荷し始めた。スーパーなどの陳列棚には再び米が並び始めたが、新米の価格が高騰。御坊市内のスーパーによると、「米の銘柄によっても価格は異なるが、昨年までは5㌔で2000円ほどというイメージだったが、今年の新米は3000円程度。物によっては2倍になっている米もある。今まででは考えられない価格」と話している。
今年の作柄は平年並みといわれているが、農業資材の高騰やマスコミによる米不足報道などが価格に反映しているとみられる。
印南町の農家は「肥料や農薬が高くなり、稲作栽培ではほとんど利益が出ない。買い取り価格が上がったので助かる」という。一方、多くの生活物資の値上げに続く新米価格の高騰に家計を預かる主婦らからは悲鳴が聞かれる。御坊市の50代女性は「ご飯は毎日のこと。高くても買わない訳にいかない。これほど急に値段を上げられると困る」、日高川町の40代の女性も「毎年、知り合いの農家から購入しているけど、今年はスーパーほどではないにしても、今までより値上げされたみたいですね」と話していた。