先月に発表された巨大地震注意報が引き金となり、「令和の米騒動」ともいわれる全国的な米不足が発生した。元々、昨年の猛暑による不作とインバウンドの増加に伴う米の需要増による品薄の状況だったが、巨大地震注意報の発表で米を備蓄する動きが高まったことが騒動のきっかけだという。一時はスーパーの棚に米がなくなり、ちょっとしたパニック状態。その後に新米が出回り始め、再び商品棚には米袋が並び始めたが、新米の値段は高くなり、依然として消費者にとっては厳しい状況だ。

 一方、野生動物にとっても山に食料が不足しているようだ。イノシシやシカなどが民家近くまで降りて来て、野菜や果樹などの農作物を食べる被害が各地で相次いでいる。全国的には都心部の近くでも残飯などを求めて侵入してくるイノシシも見られるという。そうなれば、農作物だけでなく、人間に攻撃してこないかも心配だ。

 もちろん、日高地方では他人事ではなく、近年、サルの被害が増加している。以前と比べて個体数も増えているようで、大きな群れも確認され、山間部に行くと、山斜面や道路沿いなどで普通にサルを見かけることができる。そのサルがこの時期、刈り取り前の稲穂を食べる被害が相次ぎ、「集団で田んぼに入って、稲穂をむしり取られた」という話をあちこちから聞かれる。

 農家にとっては精根込めて育てた米が収穫前になって被害を受けるのはショックが大きい。電柵、パトロール、追い払い用の花火などで対策しているが、被害は後を絶たない。人間の世界で米の品薄や価格上昇が発生し、消費者が四苦八苦していることを知ってか知らずか。(雄)