県が近く建て替え事業の設計を発注する御坊市湯川町の県営下富安団地は、現在の鉄筋コンクリート造りから、紀州材を活用した温かみのある木造に生まれ変わることが分かった。木材利用を推進しようと、67ある県営団地の中で鉄骨や鉄筋造りを採用しない木造建築は初めて。今年度から2029年度までの6カ年計画で約20億円を投入する。
同団地は1971年から74年にかけて建設。鉄筋コンクリート造り4階建ての4棟あり、長年の歳月で老朽化が進んでおり、県が建て替えを計画。16日の県議会一般質問では秋月史成議員(西牟婁郡選出)が県有施設への紀州材利用についてただし、執行部が新たに建設する下富安団地の木造化を明らかにした。
県は2012年に木材利用方針を策定し、公共施設などへの木材利用を推進。県有施設の木造での建設は最近だと和歌山市加太のドクターヘリ格納庫などがある。県営団地では「木質化」で内装に紀州材を使うことはあったが、構造自体の木造はなく、より多くの木材が使われることになる。
新たな下富安団地は現地建て替えで工事する方針。今年度と25年度に設計し、26年度から29年度にかけて工事を行う。工事費は概算で約20億円が見込まれており、建築住宅課によると、木造化しても他の鉄骨造りなどの費用と同程度に収まるようにする。整備戸数は現入居者が入れるよう80戸程度を予定しており、建物の階数や棟数は未定。手すりやエレベーター設置などバリアフリーにも配慮する。家賃は55平方㍍の住戸として算定した場合、所得に応じて2万円から4万円程度となる見通し。