いつまでも残暑が続きますが、朝晩はしのぎやすくなってきました。9月のテーマはシンプルに「秋」。おいしい料理エッセイをご紹介します。
「寿司屋のかみさん うまいもの暦」(佐川芳枝著、講談社文庫)
寿司店のおかみさんが、毎日の日記を本にした一冊。季節の味が生き生きと表現されます。
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朝ごはんは自家製サンマの開き。サンマが四匹残ったので、開いて塩を振り、陰干しにしておいた。一匹焼いて、残りは冷凍した。焼いたら脂がじゅうじゅう落ちて、皮が金色になったのを、大根おろしをたっぷり添えて食べた。生のサンマを焼くのもいいけど、干したのは塩がほどよく染みていてご飯によく合う。(略)
米屋さんにお米の注文をしたら、新米が揃ったので見本を入れておきますとのことで、いつもの米とは別に小袋が3個入っていた。千葉、会津若松、佐渡の米で、生産者の名前入りだ。土釜で炊いて味を比べてみたら、会津若松のコシヒカリがいいかなと思ったが、シャリに向いたのとご飯用は違う。シャリには粘り気の少ない、ぱらりとした食感のほうがいい。