北方四島を望む納沙布岬を訪れた御坊中の生徒ら

 北方領土現地視察研修は2003年から始まり、今年で22回目を迎えた。今回は独立行政法人北方領土問題対策協会から補助金を受け、県内から御坊中学校と橋本市の紀見東中学校の2校が参加。3日から5日、返還要求運動の原点の地、根室市を訪問した。

 北方四島の一つである歯舞群島の貝殻島までわずか3・7㌔の納沙布岬、北方領土返還祈念のシンボル像「四島のかけ橋」と「祈りの火」を訪れ、天気もよく色丹島や国後島まで見渡すことができた。同市の北海道立北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)で開催された北方領土返還要求根室市民大会では、和歌山県代表として御坊中の宮所陽日(はるひ)さんが北方領土返還要求運動和歌山県民会議会長を務める鈴木太雄県議会議長のメッセージを代読。石垣雅敏市長への表敬訪問では前田一護(いちご)君があいさつをした。

 地元中学生らとの交流会も開かれ、和歌山県、富山県、根室市内の生徒、総勢41人が参加。グループに分かれ、返還活動をより知ってもらうにはどうすればよいか等テーマを掲げて意見を交換。石垣市長が見守るなか、御坊中の生徒も活発に意見を交わした。また、歯舞群島の一つである勇留島(ゆりとう)で暮らしていた角鹿金太郎さんが残した句集「潮流」(自費出版)から2句の感想を話し合い、角鹿さんの記憶の結晶に触れた。

 御坊中の喜多和泉さんは「北方四島があんなに近くにあるのに行けないということが複雑だった」と研修を振り返り、生徒を引率した松山章仁教諭は「現地で体感、体験したことを後輩たちに伝えていこう」と生徒に呼びかけた。