温州ミカンに被害を与えるカメムシ(日高川町で)

 農作物に被害をもたらすカメムシが全国的に大発生し、日高地方でも果実をつけ始めた温州ミカンなどに被害が拡大している。県立うめ研究所(みなべ町東本庄)の調査によると、今年は4月中旬から発生量が目立ち始め、特産の梅で大きな被害を受けた。今後も温州ミカンなどの柑橘のほか、稲への被害も懸念されている。

 果樹に被害を与えるのは主にチャバネアオカメムシとツヤアオカメムシの2種類。エサとなるスギやヒノキの実が昨年秋に多かったことや、暖冬で越冬しやすい環境だったことが大量発生につながったとみられる。県内でも今年に入って3回の注意報(直近は今月12日)が発令された。

 うめ研究所は発生状況を毎年調べ、夜間に水銀灯に集めってくるカメムシの数を調査。それによると、今年5月の発生量は昨年同月に比べて約30倍、6月は約15倍で、平年比では約4倍。今月1日から25日までの調査でみると、チャバネアオカメムシが7090匹、ツヤアオカメムシが2112匹で、いずれも平年同期の約8倍となっている。

 日高地方では温州ミカンで被害が目立ち、カメムシに吸われた果実は黄色く変色して落下。果実が収穫時期の近くになると、落下することは少なくなるが、吸われた部分が変色するなど商品価値が下がるという。柑橘以外では稲への被害が懸念され、今後に出始める稲穂を食害する。

 県農林水産振興部は「被害は集中的に発生しているため、いまは大丈夫でも油断していると、突然被害に遭ってしまうこともある。常に注視しておくことが必要」と話し、JA紀州は農薬散布などの対策を呼びかけている。