クスノキとJR紀伊内原駅舎。初の懇談会ではクスノキも含めて趣のある駅舎を残したまま活用したいとの意見で全員が一致した

 日高町のJR紀伊内原駅舎を考える初めての懇談会が4日、役場で開かれ、観光協会や一般住民ら約15人が参加。全員が今ある駅舎をそのまま残してほしいとの考えで、小さな図書室、子どもの笑い声が聞こえるスペース、駅周辺の開発などアイデアもたくさん出された。今後は所有者のJRにも懇談会に参加してもらうよう働きかけ、活用へ向けて取り組んでいくことを決めた。

 JR紀伊内原駅は町民から寄せられた1万6500円(現在価値6600万円)を活用して1924年に開業。現在は無人駅で、改札を除いて閉鎖されている。まちの玄関口であり「先人の苦労で作られた駅舎を有効活用できないか」との声があり、埋橋忠彦さん(小浦)が発起人となって懇談会を開催。役場企画まちづくり課や日高町観光協会の金﨑昭仁会長、開催を知った一般住民らが集まった。

 内原駅をまちづくりに活用するために町民2600人の署名活動を行ったこともある観光協会の金﨑会長は「情報発信の拠点にしていきたい」とあいさつした。

 参加者は一人ずつ自己紹介とそれぞれが思い描く活用方法を発表。簡素な駅舎に改修することには多くが反対で、「古きよき形を残したい」「駅の前にある大きなクスノキも含めて、今の駅舎を大事に活用したい」との声が圧倒的。今後も駅舎を残したまま活用する方向で進めていくことを確認した。

 活用方法では、「子どもが集える場所にしたい。住民に不要になった本を持ち込んでもらって小さい図書室にすれば地域の人も気軽に集えるのでは」「上富田町の朝来駅のように観光情報を発信したり、母親が子どもを連れて遊びに行けるキッズスペース、カフェなどがあればうれしい」「湯浅駅から内原駅まで熊野古道を歩くコースがあり、参加者も多いが、パンフレットや案内板がほしい」などたくさんの意見が出された。

 駅舎を有効活用していくため、「まずはJRから町に譲渡してもらうことが第一ではないか」や「駅だけでなく、周辺の空き家となっている古民家を活用して一体的に取り組むことができないか」との声もあった。

 今後も定期的に開いてくことにし、JR関係者を招いた懇談会や現在駅を利用している人への聞き取り、若い世代の参加も促していく。