日高川町は、災害で集落が孤立した際、ドローンを使って空から物資を運搬するインフラ構築を始めた。買い物代行等のドローン配送を行う株式会社NEXT DELIVERY(ネクストデリバリー)が運営するスカイハブ日高川店の10ルート(美山地区地内)に加え、今年度中に町内全域を対象に20ルートを新設。ほか、災害時にドローンが着陸できる場所も10カ所を設定する。

 1月に石川県で発生した能登半島地震では、輪島市から物資の運送要請を受けたネクストデリバリーと同社親会社の株式会社エアロネクストがドローンを使って医薬品などを運搬。自衛隊員が徒歩で5時間以上かかる場所でも、ドローンなら10分程度で搬入できた。災害時にドローンで物資を被災地に届けたのは全国で初めての試みとなったが、ドローンの飛行には着陸側の位置(座標)が定まっていないと運搬ルートが作成できないため、一度、孤立集落まで行く必要があった。

 日高川町では能登半島地震の教訓を生かし、事前にドローンの飛行ルートを確保する。事業はネクストデリバリーに委託し、ドローンによる災害対応エリアを町全域に拡充する。使用するドローンの積載重量は5㌔で、飛行ルートの距離は片道8㌔までに設定。着陸場所に関しては上空に障害物がなく、避難所や集会所から比較的近い場所を選定する。万一、集落が孤立した場合、医療品、食料、日用品などを被災地に届ける。事業費は2000万円(うち国の補助が1000万円)で、全国的にも先進的な取り組みだという。

 町担当者は「能登半島と紀伊半島は同じような地形。能登の教訓を生かして大規模災害に備え、事前に物資を搬送できる仕組みを構築しておきたい」と話している。