東京大学大学院生で美浜町三尾に移住している岩永淳志さんが、おんぱく(御坊日高博覧会)の勉強会でなぜ移住したかなどを講演した。以前から何度か取材、記事に取り上げてきたが、人の温かさや田舎の風景が大きな要因という。三尾の移民の歴史を勉強したり、古民家リフォームのDIY講習会を開いたり、地域のための活動を積極的に行っている。岩永さんのようにIターンで日高地方の活性化に取り組んでくれている人はたくさんいて、それこそ地域の魅力の一つといえる。
逆に地元を離れ、東京などで活躍する日高地方出身者もたくさんいる。東京の大正大学の柏木正博理事長もその一人(既報)。ズームで取材させてもらったが、非常に気さくで、質問にはユーモアを交えて答えていただいた。何より印象に残ったのは、国が地方創生を叫びだすよりも早く必要性を感じ、大学と地域との連携ネットワークを築こうと、自身が全国を飛び回って自治体と交渉してきた行動力だ。地域創生学部を創設し、学生を連携している全国の地域に派遣して住民との交流や課題解決に取り組ませていることにも感心した。
御坊市にも2年前から同学部の生徒が5週間ずつの研修に来ていて、おんぱくを運営するネイブルのメンバーが受け入れている。ネイブルもネットワークの一つに入ることで、将来的にほかの地域で学んでいる学生や住民とのつながりができる可能性が広がるということ。人と人のつながりは持続可能な地域づくりに欠かせない。大正大学がきっかけで御坊日高が全国の地域とネットワークでつながれば、もっといろんな取り組みができるんじゃないかと感じた。(片)