先月27日に南部高校で行われた県の「LGBT出前講座」を取材した。講師は県内にいる性的少数者の支援を行うNPO法人チーム紀伊水道の理事長で、自身もトランス女性という倉嶋麻理奈さん。性を取り巻く社会の現状と課題について、多角的な視点から分かりやすく解説した。

 倉嶋さんの話によると、性的少数者の割合はさまざまな調査から人口の約3~10%いるという。仮に5%いるとして和歌山県に当てはめると、県の人口約92万5000人(2023年現在)に対し、約4万6000人が性的少数者で、20人に1人という割合になる。そう思うと、決して自分から遠い話ではない。

 LGBTという言葉がいわれるようになって20年くらいが経つが、人権の視点から「SOGI(ソジ)」という概念が注目されている。「Sexual Orientation and Gender Identity」の頭文字をとった略で、性的指向や性自認を意味する。LGBTは性的少数者を指していわれていたが、少数者だけを扱うのではなく、多数者も含めて社会全体で性を捉えようという考え方がSOGIという概念だ。

 倉嶋さんは「性はプリズムのようなもの」と言っていた。個性は一人ひとり違う。その人の個性を尊重し、古い考えやレッテル貼り、カテゴライズに囚われない見方が当たり前になればと思った。(鞘)