スターチスの生産量日本一を誇る御坊市をはじめ、日高地方は花の栽培が盛んである。御坊市の名田小学校等で行われた「花育」を取材した◆主催は日高地方花き連合会、日高地方農業士会。名田は花どころだけあって、「おうちで花をつくっている人」の問いには多くの児童が手を上げた。「手伝っている人」の問いにもその半分ほどが手を上げたのは頼もしい。きれいな紫などのスターチス、カスミ草、ピンクやオレンジ色のカーネーションを使ってかわいい花束を作った◆花をつける植物は世界で20万種類以上あるという。花育では、日高地方農業改良普及推進協議会発行のパンフレット「日高の花」も配られ、日高地方で栽培されている花が紹介されていた。スターチス、カスミ草、ガーベラ、バラ、スイートピー、千両、カーネーション、ダリア、菊、ひまわり、金魚草、花麦、トルコギキョウ、ストック、ササユリ、テマリソウの16種類。スターチスは「変わらぬ心」、カスミ草は「清い心」、スイートピーは「優しい思い出」、千両は「財産」など、花言葉も添えられている。花は好きだし、地元でみられる花は全部分かっているつもりだったが、ストックと金魚草の明確な区別がわからず、テマリソウは初めてその名を知って焦った◆花を愛でることは、自然の最も美しい部分の一つに触れること。なくても特に暮らしには困らないが、あると心の浮き立つ暮らしを送れる。名前を知る花が増えることで、世界がより明るく見えてくるかもしれない。色の組み合わせを考えながら楽しそうに花束をつくる子どもたちを見て、有数の花の産地に暮らす幸運をあらためて思った。(里)