食肉用として開発された新地鶏

 日高川町船津にある県畜産試験場養鶏研究所は、県産地鶏の龍神コッコと兵庫県で改良された龍軍鶏ごろう(たつしゃも・ごろう)を交雑させ、新たな肉用の地鶏を開発した。龍神コッコは以前から田辺市龍神村で飼育されてきた希少な日本鶏の龍神地鶏がルーツ。新しい食肉用地鶏の名称は決まっていないが、今後、商品化や販路の開拓を進める。

 龍神コッコは明治時代以前から龍神村で飼育されてきた龍神地鶏と、在来種のロードアイランドレッドを交雑させてできた地鶏。体が小さいため肉用には不向きで、採卵用の地鶏として飼育されている。龍軍鶏ごろうは家畜改良センター兵庫牧場で開発された軍鶏の血脈を持つ品種。

 養鶏研究所は2021年度から龍神コッコを使った食肉用地鶏の開発を開始し、4種類の地鶏と掛け合わせ、肉用として優れた地鶏を調べた。その結果、メスの龍神コッコとオスの龍軍鶏ごろうの交雑が最も肉付きがよく、龍神コッコの体重が2㌔以下なのに対し、新しい品種の新地鶏は平均でオスが2・7㌔(日齢120日)、メスが2・3㌔(同155日)だった。味はブロイラーに比べて旨味が強く、皮に弾力があるのが特長だという。

 ルーツとなる龍神地鶏は龍神村の旧家で代々受け継がれ飼育されてきた固有種だが、繁殖能力が低く、2012年には60羽まで減少。一時は絶滅の危機に瀕していたが、養鶏研究所が龍神地鶏の保護活動を行い、現在は約500羽まで増えている。