串本町の小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」で13日、民間ロケット初号機「カイロス」の打ち上げが行われ、発射から5秒後に爆発。前回は打ち上げ直前で延期となり、今回こそはと見守っていた公式見学場の人たちも非常に残念そうにしていた。

 ロケットの打ち上げは当初2021年度中を予定していたが、コロナや世界情勢の影響で部品がそろわず、打ち上げ延期は通算5回。筆者のような素人からすれば満を持して臨んだ6回目は、きっと成功するのだろう、現場で歴史的瞬間をカメラに収められるのだろうと、簡単に考えていたが、世界の国が競争するロケット開発が、そうとんとん拍子にいくものではないと実感。技術者からすれば初号機の失敗は想定の範囲内だという話も聞いた。

 スペースワンでは会社を設立してから6年弱での打ち上げは他と比較して早い方であり、今回も点火して機体が持ち上がったことは次なるチャレンジへの「大きな糧」となるとし、「失敗という言葉は使わない」と強調。アメリカの民間企業も初号機の発射に失敗し、翌年には3度の打ち上げを成功させた事例も紹介しながら、前向きに挑戦し続ける姿勢を示した。

 ただ、スペースワンが大手企業の集合体であり、他企業から多くの支援があるにしても、毎回、打ち上げには莫大な費用が必要。失敗すれば搭載している小型衛星などの補償の問題もあるだろうし、資金を調達しながらどこまで挑戦を続けられるのか心配してしまう。何にしても今後の日本の宇宙産業発展を左右すると言ってもいい偉大な事業であり、世界に負けないスピード感を持って成功させることを願っている。(吉)