県が新年度から学校の給食費を無償化する。実施時期は今年10月から来年3月末まで。予算7億3000万円を計上、小中学校の給食費無償化を実施する市町村を対象に県が2分の1を補助。県立特別支援学校については児童、生徒の給食費にかかる保護者負担分を支援する。

 学校給食無償化は子育て世帯の経済的負担を軽減するため、岸本周平知事が公約に掲げたが、「国が実施すべき施策」として国への予算を要望する方針に転換。しかし、国がようやく調査に入った段階で、「政府の動きを待っていられない」などと、県独自予算での支援に踏み切ることになり、国の補助を待ちつつ次年度以降も継続する方針だ。

 文科省調べだと、給食費の月平均は小学校約4400円、中学校で約5100円。子がいない筆者は偉そうなことを言えないが、「子どもにご飯をたべさせるのは親の責任」とはいうものの、物価高騰の中で給食費の無償化は子育て世帯にはありがたい支援だと思う。今回、県が実施する施策は、あくまで給食費無償化を行う市町村に対して県が援助するというのがみそ。知事公約に掲げているのだから、県がまず県内全小中学校の給食費2分の1を負担するスタンスを示し、残りの2分の1を市町村の判断に任せてもよかったが、そうはしなかった。

 日高地方ではすでに美浜、日高川町が無償化の事業を実施しており、スピード感を大切にする印南町も4月から先行して独自予算で無償化し、御坊市も前向き姿勢。いずれにしても無償化の実現は、各市町村に委ねられた。自治体のやる気や厳しい財政状況の中での賢いやりくりが試されている。(吉)