気温が温かくなり始め、野山ではフキノトウが花芽を出し、春の息吹を感じさせている。早咲きのカワヅザクラも咲き始め、ソメイヨシノの開花もあと少し。ようやく寒さの峠を越え、暖かい春はすぐそこまで来ているようだ。しかし、気温の上昇とともに気になるのが花粉症。スギが休眠から目覚め、雄花が花粉を飛散させ始めるのもこの時期だ。

 花粉症の歴史は短い。国内では約60年前の1963年にスギ花粉症が初めて報告された。その後、花粉症は急増し、現在は日本人の4割が罹患するといわれる国民病となった。60年代にスギが大量に植林されたことなどが大きな要因とみられているほか、大気汚染や日本人の食文化の変化なども影響しているという説もある。

 確かに30年から40年ほど前は家族や友だちが「花粉症になった」などという話はあまり聞かなかったような気がするが、いつの間にか大きく取りざたされ始めた。筆者自身も症状は比較的軽いものの、数年前ぐらいから毎年花粉症に悩まされている。

 今年の花粉の飛散状況をインターネットで調べてみると、暖冬の影響で例年よりも早く、すでに飛散が始まっているという。県内の飛散量は例年よりもやや多いことが予想されている。症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどで、悪化すると皮膚症状、頭痛などの症状も表れる。また、ぜんそくが悪化したり、果物を食べると口のかゆみなどが生じる口腔アレルギーが起こることもあるという。対策は外出時にマスクをしたり、メガネをかけたりして花粉との接触をできるだけ避けること。花粉症に罹るという人は早めの対応でこの春を乗り切ろう。(雄)