先日、御坊署の新人警察官3人が、55年前に2人の警察官が犠牲になった由良町阿戸の現場に建つ殉職者慰霊碑を訪問。きれいにした後、献花、敬礼する姿を取材した。地域を愛し、愛される警察官になるとともに、その職責の重さを感じてもらおうと例年実施。県警察学校を卒業、配属されたばかりの3人も引き締まった表情で気持ちを新たにしていた。
由良での事故は55年前のきょう起きた。1969年2月9日午前1時ごろ、阿戸の里トンネル南約50㍍の国道42号で発生した交通事故現場に小山眞之警部補(当時32歳)、新家文孝警部補(当時24歳)らが急行。実況見分後に帰署しようとしたところ、トンネルから出てきたライトバンが警察官の姿を見た直後に停車したため、不審に思い、車を挟む形で警察官2人が交通整理をしながら、小山警部補が運転者に職務質問を開始した。3台の車が通過したが、続く4台目が懐中電灯による誘導を無視。時速50~60㌔で暴走(居眠り運転)して突っ込んできた。
誘導中の警察官は「危ない、逃げろ」と大声で叫んで知らせ、東側の土手下約5㍍に飛び込んで避けたが、職務質問中の小山、新家両警部補は避難する間もなく、暴走車両はライトバンの右側面をえぐるとともに、路上に立っていた小山警部補をはね飛ばし、新家警部補を車の下に巻き込んで約20㍍引きずって停止。小山、新家両警部補が犠牲になったという。
その年の11月に建立された慰霊碑。いまも地元の人が世話をしている。地域を愛し、愛された証だろう。私たちの安全安心を守ってくれている警察官。新人の3人ら御坊署員の皆さんには、先輩の遺徳を胸に頑張ってほしい。(笑)