県教育委員会は中学校クラブ活動の地域連携・移行にかかる方針案をまとめた。クラブ活動の指導を地域の団体などに移行していく取り組みで、今後のスケジュール案として各市町村が来年度から協議の場を持ち、2028年度をめどに地域でのクラブ活動の充実を目指す方向性を示している。御坊市はひと足早く、来月下旬に各種団体の協議会を設立、本格的な議論をスタートさせる。

 運動部活動の地域連携・移行は、近年の生徒数減少やクラブを担当する教員の業務負担増などを背景に、スポーツ庁が推進。具体的な進め方は都道府県ごとに決め、和歌山県は先月、市町村教委や学校関係者らに方針案を説明、今月9日の市町村教育長会議を経て正式決定する。

 県スポーツ課によると、方針案では中学校の運動部活動の地域連携・移行について来年度から実情に応じて協議の場を持つよう市町村に求め、25・26年度は生徒、保護者、地域住民のニーズに応じ、積極的に進める期間としている。地域クラブ活動充実のめどは28年度までに設定したが、この年度までに地域連携・移行の完了を求めるという意味ではなく、あくまで目標の一つとしている。現在、日高地方でも総合型スポーツクラブなど地域団体が指導している競技があり、今後こういった団体も視野に入れた受け皿整備、練習施設の確保、生徒の送迎、指導者の育成、中体連のあり方など、検討課題は多い。

 御坊市では昨年12月議会の一般質問で松本隆史議員が市内の中学校のクラブ数が減少し、軟式野球は御坊と湯川、河南と名田がそれぞれ合同チームとなっている現状などから、地域移行の検討や持続可能な部活動の構築を求めた。

 教育委員会によると、現在、市内にある市体育協会(加盟27団体・26種目)、総合型地域スポーツクラブ(2団体・3種目)、スポーツ少年団(20団体・10種目)などを地域移行の受け入れ先候補として想定。3月下旬に設立する協議会は校長会、体育協会、保護者、議会などのメンバーを考えており、今後、子どもや保護者へのニーズ調査も予定している。弓倉正啓教育長は「希望する部活動をあきらめる子が出ないよう配慮し、子どもたちが楽しく、よかったと思える状況をつくりたい」と話している。