昔から日本で言われてきた「地震、雷、火事、おやじ」。この世で特に怖いものを順に並べた言葉で、新年早々、日本を震撼させた能登半島地震を見ても分かる通り、地震の恐ろしさは言うまでもないが、近年の異常気象もあって、自然災害の種類が多様化している。ゲリラ豪雨や線状降水帯による河川氾濫や土砂災害もそうだ。

 先月29日、御坊市と由良町などで海上輸送訓練が行われた。記録的な大雨に伴い大規模な土砂災害が発生し、由良港周辺地域が孤立したという想定で、日高港から由良港まで船で支援物資や人員を迅速かつ安全に輸送した。国土交通省近畿地方整備局の「海和歌丸」や県港湾建設協会の「第十二東丸」など4隻の船が使われ、由良港では由良ドック株式会社の岸壁を利用。まさに官民一体で取り組む姿勢は、もしもの災害に備えて非常に心強く感じた。

 2011年の東日本大震災では想定外の津波が襲来し、甚大な被害が出たが、これらを教訓にさせてもらい、近い将来、南海トラフの巨大地震の発生が予想される和歌山県でも犠牲者ゼロを目指すには、想定外をなくすよう、一段も二段も上の想定をして備えておく必要がある。現在、地震、河川氾濫、土砂災害など個別の訓練を行っているが、これらの自然災害が同じ日に一度に発生し、まさに天変地異のような被害が出ることだって予想される。もしかしたら陸路や海路も断たれる恐れがあり、空路での支援物資輸送が必要になるかもしれない。そうなれば現在、県が導入に向け取り組んでいる空飛ぶクルマも物資輸送の一つの手段。とにかくあらゆることを想定し、対応を考えておく必要がある。(吉)